爽やかな朝の時間、クラブを手に準備を整えるその瞬間から、ショットの可能性は変わり始めます。
ここでは、アイアンショットで結果を左右する「ダウンブロー」と「最下点」という2つのキーワードを、理論的に、かつレッスンらしく解説いたします。
- ダウンブローとは
「ダウンブロー」とは、クラブヘッドが振り下ろされる軌道の中で、ボールに当たる直前に“下降軌道”を描いてクラブヘッドがボールに接触する打ち方を指します。
言い換えると、クラブが最も低くなるポイント(=最下点)を ボールよりわずかに先 に設定することで、ボールを先、地面を後に捉える理想的なインパクトを生みます。
こうすることで、余分な芝の抵抗を受けず、ボールに対してクリーンなインパクトを実現できます。
このような“打ち方”は、単なる力任せではありません。むしろ、クラブの動き・重さ・軌道を理解し、意図的に使う「道具の使い方」に他なりません。
- なぜ「最下点」が重要なのか
アイアンショットでミスが出る典型例として「芝を深くえぐる」「ボールを拾ってしまう」「球が上がらない/スピンがかからない」などがあります。
これらは、主に「最下点がボールより手前(体側)に来てしまっている」ために起こる現象です。
逆に、最下点がボールより先 にくるとどうなるか?
ボールを先にとらえ、地面はその後にとらえるため、クラブフェースが芝の抵抗を受けにくくなります。
クリーンインパクトになり、打ち出し角・スピン量ともに安定しやすくなります。
余計なエネルギー損失が減り、ミート率(打球時のクラブフェースとボールのヒット精度)も向上します。
私のレッスンでは、まず「棒(=クラブ)を振る」感覚を取り戻すことから始めます。
子どもの頃に遊んだチャンバラのように、ただ棒を振る――そこに自然な振り子運動、クラブのしなり、ヘッドの重みがあり、それが理想的なスイングの原点です。
そのうえで、体はクラブの動きに従い、支点・軸・タイミングを整えていきます。
すると、ポジションや形ばかりを気にしていた頃とは異なり、「クラブ=道具」を操る感覚が身につき、スイングが劇的に変わるのです。
結果として、「ボールをしっかり叩ける」スイング。
年齢・体力・経験に関わらず、理論に基づいた動きを習得すれば、誰でも上達する道は開けています。
ゴルフをもっと自由に、もっと軽やかに。
クラブを主役に据えたスイングで、次のラウンドを楽しみましょう。
